ミュージカル『昭和元禄落語心中』ストーリー
昭和五十年代初期。
服役中に聴いた八代目有楽亭八雲の『死神』に一目惚れし、押しかけるように弟子入りを果たした強次。
“与太郎”の名をもらい、意気揚々と落語の道に励む強次だったが、八雲の養女である小夏から衝撃的な言葉を聞かされる。
曰く、“小夏の父である助六を、八雲が殺した”と。
若き日の助六と八雲、二人の間に立つ女性、みよ吉。
彼らの因縁について、付き人の松田が語り始める――。
時は遡って昭和十年代。
同じ日に七代目有楽亭八雲に弟子入りした信と坊、のちの初太郎と菊比古は、まるで正反対の性格ながら意気投合し、固い絆を結んでいく。
やがて戦争が影を落とすが、“必ずや生き延び、再び落語で人々を笑わせよう”と誓い合う二人。
その約束は、その後、戦後1年以上を経て、ようやく果たされることとなる。
だが、初太郎改め助六が豪胆な落語で人気を集める一方で、菊比古は自分の落語を見つけられず、焦りを募らせる。
そんな弟子に色気を学ばせようと、師匠は満州で知り合った、芸者のみよ吉を引き合わせる。
惹かれ合う菊比古とみよ吉。
だが菊比古は常に落語第一でそっけなく、みよ吉は別れの予感に怯え続ける。
精進を重ね、やがて揃って真打昇進を果たした助六と菊比古。
だが、落語を愛するが故に革新的な挑戦を続ける助六は師匠との仲を拗らせ、ついには破門されてしまう――。